初めて乗ったバス

ムラケン ・ 長砂

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語り手 : 菅野田鶴子 / 菊池仲子

阿部
どんなことしたったべ。冬は。

田鶴子
あれ、馬車ね、馬車しか通んねえがら。あの、今、語るこんなな車なんか、滅多なこと通んねえがら。
通らないし、あと、バスもね、バスって、「ムラケン」ってあるがね、「ムラケン」さんで始めたのね、あれ車ね。バスずうもの来て、女の人の、切符売る人ね。珍しいなあと思っておら見だんだでば。

前田
車掌さん、ですよね。

田鶴子
うん、車掌さん。事務員でなぐ。切符売るの。あれこうね、前さかばん下げてね。
そのかばん、そのスタイルが見だくてさ。ムラケンから長砂までだ、切符買って乗ったの。

会場
(笑)

田鶴子
うん、して、「ああ~あんなことすんだなあ」と思ってね。歩ってもいいようなもんだったけど、まずね。ムラケンさ行って、切符買って、そのバスさ乗って、長砂までね。今で語れば「ここのえ」あたりだ。あそこら「おおや」のあたりね。あそこらまで乗って。なんぼだったかな、値段は、忘れたけんどもね。

阿部
で、帰りは?

田鶴子
歩ってきた(笑)。

会場
(笑)

阿部
歩って帰ってきた。

田鶴子
あどぁ、歩ってきた。
やっぱ年代も違うごどはね。

仲子
違うんだよ。
年代も違うんだが、この人だぢはお嬢様だからさ、いいの。
お嬢様だから、荒町のね、んだがら、

田鶴子
珍しい、こっからこう切符出すのな。乗ってみてえもんだな、と思って、乗ったの。ムラケンから、あそこから、バスさ乗って、長砂行って。そしてあとは脇ノ沢の方さ行ってしまうからね、大変だから(笑)

会場
(笑)