高田公友館

語り手　：　新沼薫

新沼
昔、高田公友館が建つ前に、あそごに、あのぅ、製糸工場あったの。
公益質屋っづうのあったがすぺぇ。公益質屋が建つ前に、あすこで繭とりやったの。わだしら、カドウラのじぇいご太郎だけども、あそこで遊んだわげだ。そして、煙突だけあったの。で、おらぁあそこのどごさ、公益質屋さあどがら入ったけども、煙突はそのままあったったね。そして、楽屋のどころで、糸取りやってだの。公友館っづうのはねえ、金井座、あのぅ、気仙沼金井座、高田公友館、あどぁ、大船渡は大盛館づうのがあったね、映画館ね。そのうぢの、高田の公友館は最高だったの。回り舞台で。そして、ジンキさんづうのがいたがすぺぁ。幕引ぎの。へっへっへ。あの人はほれ幕引きやったんだが。で、公友館が、広いどごで、そしてあのぅ、蔵、あるでしょう？公友館の幕は、こう、ハという字と、あどぁムと、あどぁ、中さ友書いで、公友、となってんだ。

阿部
うんうん。

新沼
わだしら、ほれぇ、あどで、映画館、兄貴どぁやったんだけども。
あの、シオガマイシが、繭を収めたとこなの。