まぢの日

大町

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語り手 : 新沼薫

阿部
まぢの日の様子、ね。当時のまぢの日の様子を教えてください。

新沼
あのぅ、5の日のまぢの日というのが、大原屋に氏神様ってあるね、まああそこから始まってるんだけども。在の方からね、かごだの、まっ、山の方がらね、作ったもの、あどぁ、場合によっては正月近くなった詰めまぢの、うし(臼)なんか、それ馬車さ積んで、

阿部
臼?

新沼
はいはい、あの、餅つく。俺、言葉悪がら。笑

阿部
ううん、そんなごとないです。臼まで持ってきたんですねえ。

新沼
それでね、ゆぐ、かどみせのあだりの、わぎの方さねえ、そういう、鍬だの、ね、そんなの作ったのど持って来て、在の方から、馬車でのへでくんだね。くれぇ(暗)うぢにぃ。そうしてね、ほんとは昔あのぅ、かどみせがら大原屋のどごろまで、川あったの、まっすぐにぃ。

阿部
ふううん。

新沼
そして、背中合わせで、川、お互い同士で。んだがら、道路狭ぐなってしまうんだ。んだがら、ものすごく、こう、漕いであるぐようなのね。浅草みでえなもんだ。

阿部
ええ~

新沼
高田の、大町は。もぢろん、荒町の方もそうだけども。そして、とびら広げで、そごで、品物並べで、マルハヂなんかは、ノミとがね、大工道具。ま、いろいろなもの、盆に帰ってきたりすっと、こう、ピン、ピンとはじいで、のこぎり見だり。大工さんが。壁塗り屋、左官が多いがら。随分繁盛したものす。して、その頃ね、くじびぎ、っづうのあんだ。ね。

阿部
まぢの日にですか?

新沼
まぢの日に。あのぅ、詰めまぢだ。

阿部
詰めまぢの時に。

新沼
盆まぢどが、詰めまぢ。それはね、警察立ぢ合いの元で、一等、二等、三等、入れんですよ。そして、一等が米俵だどが、タンスだどが、うん。

阿部
ふううん。

新沼
あの、高砂さんってね、箪笥屋。ありぁあ、高沢ていじ。あそこいらでね、みな、あの、箪笥がど持ってくんの。ほれ、商店でぁ頼むわげだ。で、昔の店っつうのは、店がねえ、長いの。マルオトだってナベヤだって、イドウヤだって、みんな、ね、商品並べるのに。で、詰めまぢなんだけど、みんな、あのぅ、扉出して、そごで売るわげだ。そうするとあそごの道路ぁ狭いがらねぇ。
あの、よくねえ、北海道の、ほら、サルカニってねぇ、なんか、薬なんだって、髭生(お)がした、アイヌ人方ぁ来てね、ここ、こう巻いで。

阿部
まぢに。

新沼
まぢの日に、北海道からまで来るんだ。

阿部
へええ!

新沼
高田まぢというのは、まぢ、で立ち上がった、商店のまぢだがら。

阿部
ふうん。

新沼
大船渡線が出るまでは、盛よりも、大船渡よりも、高田の方が栄えだわげ。

阿部
あ、そうですか。

新沼
うん。みんな、唐桑だの世田米だの、盛からまで来たんだがら。店、背負ってね。あるいはリヤカーで引っ張ったり、荷車で。昔ぁ荷車だ。

阿部
荷車で。

新沼
うん、車ね。磐井だの大原屋なんかで、荷車で引いて歩いた。

あの、テンジンっづうの居だねぇ。磐井にねぇ。あの、髭おがしてねえ。

阿部
テンジン?

新沼
あの人どぁ、磐井で尽ぐした人なんだねぇ。むがし、ま、最後には、法華寺の方に、仏様あるけどもね。テンジンの。ま、そういったようなことで、むがしぁいがったねえ。

阿部
あの、大町の商店街の町のお店の人たちの他に、在から来た人たちが店を開いていた・・?

新沼
そうそうそう。