片倉製糸
語り手 : 水野常子
常子
でねえ、片倉さ行って、一番、学徒で行った時に、ぐるーっとこう歩かせられた、生徒たちがね。糸とってるところの間を、ぐるーっとこう歩かせられたわけ。そん時にね、誰だったか知らないけども、この、単管とおってるわけだ、糸乾かす、ね。
阿部
はい。
常子
そごさ手ぇ入れてこうして。手入れて何やると思う?
阿部
何やるんですか?
常子
さなぎ!さなぎ入れて焼いてんの。この単管ふたっつあんだよ。こう。で、この間さ、さなぎ入れんの。
阿部
うん、そして??
常子
あやあ、この人こんななことして、ば、なにしてたんだべ。と思ってたったの。そして、まずそん時は何もわがんねがったわけだ。そして、こう日にち経つづにしたがってそういう要領も何も覚えだわげす。だら、「これ、なじょにして喰うのよぉ。」ってかだったっきゃ、こいづ、繭っこ剥いて。
阿部
はい。
常子
中のさなぎを食べるの。
阿部
はあ。
常子
・・・まだまだ、それが美味しいんだ。
会場
笑
阿部
おいしいの?(笑)
常子
うーん!
阿部
そこで焼いたさなぎを・・・
常子
繭っこのまんま、ほら、糸とるでしょう?と、薄くなるわけだ、糸がなくなるわけだ。それを、落ぢっから、その一番ころっころずいやづを、刺すわげ、こう。2個くらいずつ。こうして、刺してそいづ・・・まずそれが一番おいしいんだ。まずそれを覚えたから、何も食べるものないがら、まず一生懸命、糸とるよりも、これの方仕事に・・。
会場
笑